「うちの子、ダラけすぎ。どうすれば自発的になる?」に対しての意外な解決法とは?


お子さんの行動を改善するには、まずはお子さん自身の「心」の在り方を変化させていく必要があります。そして、その変化を生み出すのは、親御さんの思考の変化といっても過言ではありません。

私も親御さんに懇談で何度も伝えていますが、お子さんに変化が見えるまでは、ぐっと堪えて見守ってほしいとお願いしているのですが、やはり一部の親御さんは我慢することができず、あっさり私との約束を破ってくれます(苦笑)。

そして、お子さんの「心」が変化する前に、親御さんのストレス発散を押しつけられたお子さんがさらに反発したり、心を閉ざしていく…そんな負のスパイラルの繰り返しです。

ウチの塾でも状況が改善した子のほとんどが、親御さんの「覚悟」を決めて言いたいのを我慢して見守ってくれたご家庭でした。見守るって本当に大変で、その覚悟ができない親御さんが見守らずに首を突っ込んでしまうのは、私としても心が痛みます。

プレジデント・オンラインにそんな記事があったので、ご紹介します↓

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「どう声かけしたら、やるべきことを自発的にできるようになるんですか?」

ある小学6年生の男子の母親が、相談に来られました。

母親によると、その男の子は、言われないと着替えない、食事もしない、宿題もやらない……など、ほとんどすべてに母親が声かけをしているとのことでした。それでようやく子どもは、いやいやとりかかっていると。

私は、本書で詳しく紹介している通り、「小言を言わないで見守る」という基本方針を伝えました。

「それだと私の息子は宿題もしないし、風呂にも入りません。おそらく学校にも行かなくなると思います。もしも子どもがそうなったら、先生はどうにかしてくれるんですか?」

少し怒ったように、そう言いました。だいぶ思い詰めた感じで、迫力があります。

「うちの子は、先生がこれまで会ってきた子どもと違うと思います。ダラけかたが半端ではないんです。そういう特別ダラけの強い子に、どう声かけしたら、やるべきことを自発的にできるようになるか。そこを教えてほしいんです」

そう言って、ゆずりません。

その母親には、そういう方法を教えてくれるところにいくべきであることと、「もし私のやり方でやってみようという気になったら、また相談に来てください」と話して、その日は帰ってもらいました。

そこから2、3ヵ月経ったころ。

観念されたのか、決心されたのか、母親が再度面接に来られました。ちょうど夏休みが終わって新学期になったころでした。

「これまであなたのやり方でやってきて、状況はよくなっていないのだから、ダメでもともとで1ヵ月だけでも、小言を一切言わない方法に挑戦されたらどうですか? それで効果がなかったら、私のやり方はやめたらいいと思いますよ」

私はそう話しました。そして、やるからには、徹底してやらないと時間がもったいないということを伝え、母親は納得しました。

このときの面接で、いまでもはっきり覚えていることがあります。

これから1ヵ月、いっさい小言を言わないと決心したときに、母親の表情がはっきりと変わったのです。力が抜けたというか、大人の顔から子どもの顔になったというのか。とにかく、ぐっと表情がやわらかくなりました。

彼女は「きちんとした親の役割を果たさないといけない」とずっとがんばっていたのかな、と私は思いました。

その後、数回の面接でその母親が話したことは、およそ次のようなことです。

「新学期が始まってから、小言を控えることを意識しています。まず、子どもが前より穏やかになりました。以前は、ゲームをするときには私から隠れて、見えないところにいたのです。でも、文句を言われないとわかったら、台所で私が料理を作っているそばで、のびのびとゲームをするようになりました」

「『お母さん、なんでいろいろ言わなくなったの?』と子どもから聞かれたので、1ヵ月間お母さんは小言を言わないことにしたんだと、カウンセリングでの取り決めを話しました。子どもが『そのカウンセリングの先生、いい人やなぁ!』とすごくうれしそうに言ったので、親子で笑いました」

「いままで、言われなければまったくやらなかったのに、食卓にランドセルを持ってきて、自分から宿題をやるようになりました。それは夕食後すぐではなく、風呂に入ってテレビを観て、夜10時を過ぎていたりもするのですが。朝も、これまでは何回声をかけてもなかなか起きてこなかったのに、自分で起きてくるようになりました。前は部屋まで行って、なだめたり、脅したりしていました。あれはなんだったんだろうという感じです」

「前と比べて、子どもが、私のそばに寄ってくるようになったんです。友達とのことや、先生が何を言ったとか、学校での出来事を話してくれるようになりました。この子って自分と同じなんやな、話が好きなんやなと気がつきました」

「いままでは自分が助けないとできない子なんだ、と思って見ていたんです。ところが、言ったらダメだと決まったら、違うところが見えてきたんです。自分も小さいころこんな子どもだったなと、いろいろ思い出したり。自分でも信じられない変化ですが、私は息子のことを『なんでも自分でできる子』だと思うようになりました。まだ2週間も経ってないのに」

「そういうつもりで見てみたら、ほんとになんでも自分からやってるんです。提出のプリントも自分で食卓に出してあるし、ハンコを押してとか言ってくる。野球から帰ると、スパイクの泥も自分で落としている。お弁当箱も流しに出してある。ストッキングもユニフォームも、洗濯カゴに出してある」

このような話をしながら、母親はとてもリラックスした表情でした。最初に来たときとは、別人のような顔です。

「自分は気がついていなかったんです。あの子は、自分の子がそういう子だったらいいなと思うような子でした。なんでも自分からできる、そして親になんでも話してくれる。あの子のいいところを、私は全然わかっていなかったんです。こんなダメダメのお母さんだったのに、あの子はいままでいつも私に『ありがとう』って言ってくれてたんです。洗濯ものや弁当箱を受け渡すたびに。私は小言をいうのに必死で、あら探しに注意が取られていて、あの子が言ってくれてる『ありがとう』を聞いてなかったんです。もったいないことしたなぁ、悪いことしたなぁと思います」

これほど劇的な変化は多くはありません。それでも、このようなケースにしばしば出会います。

この家庭では、親子の間にいろいろな変化が起こったのですが、その中でいちばん大きな変化は、子どもではなく、親の気持ちが変わったこと。親の見ている世界が変わったことです。

そしてもう1つ。この母親は「自分の子どもは本当はしっかりしている」ということに、うすうす気がついていたのではないでしょうか。

わかっていたけれど、子どもがしっかりしていると認めるのは、母親の関わりがいらなくなってきていることを認めてしまうことになる。それがさみしかったのではないかな、と。

親は、いつまでも子どもの世話が焼けると思ってしまうけれど、それは違います。起きてから寝るまで、食べるものも着るものも、すべてを親が知っていて、世話をできる時期なんて、振り返れば、あっという間にすぎ去ります。

中学生になれば、もう彼らの世界の多くは、親から見えなくなります。高校、大学と進めば、ますますそうです。ときどき心に浮かぶ程度になります(それはあくまで、「子別れ」がうまくいった場合ですが)。

子どもの生活が親に全部寄っかかっているような時間は、とても貴重です。だからこそ、「あなたといることは私の幸せだ」というメッセージを、これでもか、これでもかと伝え続けましょう。

幸せになるために、子どもにも親にも、それよりも大事なことなんてないと思います。

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この記事を書かれた田中 茂樹 氏は、20年間、5,000回以上の面接を通して子育ての悩みに寄り添い続けた医師であり、臨床心理士なんですが、私もとても共感する考え方をされている方で、失礼ながらも少し親近感を覚えてしまいました(笑)。

結局は、すべて親の立ち位置とマインドで、状況が晴れにもなるし雨にもなるという、自然の流れに沿っているというだけのこと。

そこにあらがってお子さんの流れを強引に変えようとしても、恒常性が働き、結局はもとに戻ってしまう…。

であれば、お子さん自身の「心」を書き換えることで自然に変化させていく方が、親御さんのパワーが空回りすることも、摩擦を引き起こすこともなく、状況が改善していくわけですよね。

そこに到達してほしいと願い、私も親御さんにアドバイスさせてもらっても、やはりすべての方には届かない…それをどうやって浸透させていくか、今後も私自身の格闘は続きそうです。



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